遠い山に雪

生活における瑣末なことあれこれを書きます

指先の自由

裸足で過ごすのが好きだ。夏も、冬も、できればずっと裸足で過ごしたい。靴下を履きたくない。外出時も、できれば年中裸足にサンダルがいい。そんな私でも、寒さを感じないわけではない。寒い。昨日から特に寒い。日本に10年に1度らしい最強寒波がきている。足先は冷たく、布団に入っていても全然温まらない。でも、モコモコ靴下も普通の靴下も履きたくない。足が締め付けられる感じがするのが嫌だ。

寒さと世界の抑圧への小さな反抗として、今日も私は裸足で過ごしている。寒いけど、足が冷たいけど、でも指先の自由には代えられない。

 

最近本を読む時間が減っていて、それに引っ張られたのか、文章の書き方も忘れてしまった。ブログを書こうとするけれど、言葉が出てこない。ラジオを録ろうとしてもうまく話せない。今までが特にうまくできていたかと聞かれるとそうではないのだろうけれど、なんだか最近は自分なりの言葉も浮かんでこなくて日々をやり過ごしていくのが精一杯だった。

一度こうなってしまうと簡単には調子は戻らない。ぼんやりとTwitterを眺めて活字欲は満たすものの、自分の中に言葉が蓄積されていく感覚がない。諦めて仕事を頑張る期間にする。日々を過ごし、仕事をやや頑張り、そうしてやっと今日、ふたたび本を開くことができた。2週間ぶりに目を通す文字たちは簡単には体に染み込まず、所々目が滑りながらページをめくっていく。これはもう数をこなしてふたたび慣れていくしかないと私の経験が言っている。Twitterと本を行き来しながら、エッセイを読み進めていく。『ベスト・エッセイ2021』を読んでいるのでさまざまな人の文章に触れられる。個人的な好みとして読みやすいもの、読みにくいもの、ずっと頭に入ってくるもの、いまいち目が滑るもの、いろいろだ。それでも久しぶりに紙の上の文字に集中できることが嬉しくて、うまく読めなくてもページをめくる手は止まらない。気付けば部屋は暗くなっていた。じわじわと言葉が体に染み込んでくる感覚。今日はブログを書こう、と思った。

 

気分転換に洗い物をする。コップとコップをぶつけて床に落としてしまい、ひとつ割れる。細かいガラスの破片が床に飛び散る。掃除をする途中で破片で指を切る。絆創膏を巻く。目視できる破片は集めて紙袋へ。クイックルワイパーをかけた。同居人の仕事が終わったら、あとで掃除機をかける。今まで食器を割ったことなんてなかったのに、8月に引っ越してからコップを割るのはこれで3回目だ。どうして急に食器を割ってしまうようになったんだろう。食器が増えたのもあるな。同時に割れやすい素材のものが増えたこともある。次からは気を付けねば、と思いながら絆創膏にうっすら滲んだ血を見つめる。今日は甘味欲が止まらない。