遠い山に雪

生活における瑣末なことあれこれを書きます

モネ展の感想

モネ展を見に行った。平日だったので並ばずに当日券で入れて快適。中もそれほど人が多くなく、適度に賑わっていて良い感じに見て回れた。感想としては、モネ、絵が上手すぎる……いや当たり前なんだけど。それにしたって、絵が上手い。ゴッホ展を見に行ったときもデッサンを見て同じことを思った記憶がある。近くで見ると筆でささっと描いただけのような跡が、引いて見るとちゃんと人間に見えたり、山に見えたり、船に見えたりする。それがすごい。あと、色使いがすごかった。白い面を描くのに紫やグレーや青や黄色を使っていたりする。私は白を描くのに紫は使えないかも……と思いながら眺めた。モネの「なんでもない景色を特別に切り取る視点」がすごくて、でも、きっとモネの人生にはつらいことや大変なことがたくさんあったのかな、と感じた。つらいことがあればあるほど世界は美しく見えるから。なんでもない日常を美しく思えるのは、その日常が貴重であることを知っているからだ。モネの絵はどれも色使いや視点が美しく、だからこそ世界の儚さを感じた。あと、同じくらいの期間の作品でも筆の使い方?絵の具の塗り方?が全然違って面白かった。いろんな描き方を試していたのかな。モネくらいすごいクリエイターでも作風とか作り方に悩むことがあるんだろうか。目の前の風景の最適な切り取り方を試行錯誤していたことがよくわかる展示だった。

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モネの作品、人生に関する説明を読んでいたら、晩年には作品そのものだけでなく連作としての展示の仕方についても考えることがあったとあり、そこまでいくのか……と思った。作品そのものを最高の出来にするために努力するのは当たり前で、それがどの順番でどう展示されればいちばん良く見えるのかを考えていたらしい。すごすぎる。そこまで考える美術家ってどれくらいいるんだろうか……そして、いま各地の美術館に展示されているモネの作品たちは、モネの望んだかたちで展示されているんだろうか。

記憶に残っている作品は、桃と水が瓶に入っているような絵と、涙でぼやけた視界のような絵。後者の作品は説明には何も書いていなかったけれど、見た瞬間に「モネはこれを描いたとき、泣いていたのかな」と感じた。あとで調べようと思っていたのをいま書いていて思い出したので、今日こそあとで調べる。あとはもうひとつずっと見ていられるような山の景色の絵があって、お土産はその絵のポストカードを買った。グッズショップが外にあって驚いたのと、やっぱり限定のロルバーンは品切れで入手できなかった。でもお土産は基本的にポストカードと決めているので散財しなくてよかったと思うことにする。今回は美術や文学が好きな友達と行って、絵を見ながらいろんなことを話して二時間も見て回っていた。人と美術展に行くの楽しいな〜。自分が絶対に作れないであろう作品をえらぶ気持ちで見て回るのが好きだ(どれも作れないよ、というツッコミは置いておいて)。その友達と今度は浅草を楽しむ約束をした。生きる気力をもらった一日。